《浅葱の灯》――境界を渡る蝶の記憶――

グレイ印 orgnoid

【オルゴノイドペンダント】 オルゴナイトにカラーセラピーとパワーストーンの振動、波動に加え、 レイキエナジーや夜光にもこだわり創り続けています。 この世界で 活き活きと本来の自分の姿で 光輝けるお手伝いができる道具となりますよう。 オルゴナイトの不思議な安心感と魅力で愛と喜びの循環、拡散を より多くの方々にご提供できるよう努めたいと思っております。

《浅葱の灯》――境界を渡る蝶の記憶―― 


執着からふっと解放された“森”での記憶。

 旅人は、胸の奥に残る寂しさとともにゆっくりと歩いていた。 

どこかまだ帰る場所を探すように、ひと呼吸ごとに足を進めていた。 


木漏れ日の中、長く溜まっていた重たさが少しずつほどけていく。

 固くなった心の膜がゆるみ、忘れかけていた感覚が静かに戻ってくる。 

そのとき――浅葱色の蝶が、そっと旅人の肩先をかすめた。 

羽は光を透かし、余計なざわめきを撫でるように落としてゆく。

 不安も、孤独も、言葉にならない痛みも、 「ひとりで抱えなくていい」と語るように。 


蝶とともに森を歩くと、ほどなくして澄んだ水音が聞こえてきた。 

 旅人は小川に腰を下ろし、蝶が静かに寄り添うのを感じた。 


浅葱の羽が揺れるたび、胸の奥の寂しさが柔らかな光に変わっていく。

 ふと、古い言い伝えを思い出す。


 ――“浅葱の蝶は、境界を渡る神の使い”。 


水と風と空のあいだを行き来し、 迷った魂のそばに寄り添い、再び歩き出す灯を残す存在。

 遠い昔、この蝶は祈りを運ぶ使いであり、 人の孤独にそっと寄り添う者だと語られていた。

 忘れ去られた想いも見捨てず、 心の底に沈んだ願いを、水面へ浮かばせる役目を持つと。 


小川を覗き込むと、凍っていた感覚が解けるように広がっていく。


 押し込めていた想いが、すっと動き出し、 胸の底で消えずにいた小さな灯りが輪郭を取り戻す。

 浅葱の蝶はその灯を確かめるように、ひらりと一度、旅人の周りを円を描いた。

 その動きはまるで祝福のようで、 「もう恐れなくていい」 そんな声が風に重なって聞こえた気がした。 

やがて蝶は、小川の光へ溶けるように姿を消した。 

ただその余韻だけが淡い青となり、旅人の胸に残る。


 ――たとえひとりでも、見守られている。 

その気配は、微かな灯となって静かに揺れていた。   



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