《金砂の果実》 ――千里眼の砂猫――
グレイ印 orgnoid
【オルゴノイドペンダント】 オルゴナイトにカラーセラピーとパワーストーンの振動、波動に加え、 レイキエナジーや夜光にもこだわり創り続けています。 この世界で 活き活きと本来の自分の姿で 光輝けるお手伝いができる道具となりますよう。 オルゴナイトの不思議な安心感と魅力で愛と喜びの循環、拡散を より多くの方々にご提供できるよう努めたいと思っております。
《金砂の果実》 ――千里眼の砂猫――
蠍の女が姿を消したあとも、 旅人は彼女が残した言葉の意味を 理解できずにいた。
「風の主が案内する」
── いったい何のことなのか。
考えても答えは出ず、 ただ前へ進むしかなかった。
どれほど歩いただろう。
旅人の目は乾きで霞み、 どちらへ進むべきか分からなくなっていた。
そのとき──
風の向きを切り裂くように 細い砂の線が走った——
一瞬のうちに、それは輪郭をまとい、 光がちらちらと内部で跳ねて、サンドキャットが形をとった。
毛並みの奥で砂金のような光が揺れる。
見た目は小さくても、 風より自由で、気まぐれで、しかし 巡りだけは確実につかまえるハンター。
猫は旅人を見ることなく、 砂丘をかけ上がり、影の薄い稜線を跳ねていく。
その動きに、 旅人の胸の奥がふっと軽くなった。
理由はない。 ただ、猫の進む方向の空気だけが ほんの少し甘く、澄んでいる気がした。
猫を追うように足を進めていくと── 光の層が揺れて見える砂地へ出た。
風が吹き抜けると、 砂がほどけるように崩れ、 下から 小さなオアシス が姿を現した。
そこは人の手が触れたことのない 透明な水溜まりで、 水面には夕陽が砕けて 金の粒となって輝いていた。
水辺には、 砂漠に自生する実がひとつだけ落ちていた。
太陽をたっぷり浴びて育ったような、 宝石のように透き通った果実。
サンドキャットは その水際で一度だけ立ち止まり、 風の方角を確かめると、 光の粒子となって消えた。 旅人は水を飲む。
乾きが満ちていくにつれ、 胸の奥のざわめきが静かに沈んでいく。
果実をかじると、 甘さと冷たさが一瞬で体に広がった。
不思議な恵みは多くはない。 だが、必要な分だけは確かにそこにある。
サンドキャットという存在は、 導きはしない。
ただ、 “巡りのある方角”へだけ姿を見せる―― 古くからそう語られていた。
満たされた心で空を見ると、 どちらに進むべきか、 迷いが自然にほどけていった。
旅人は荷を背負い直し、 風が生まれる方へ歩き出した。
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